4991/5 2006/01/17(火) 14:25:10
おれが嫁さんに結婚を申し込んだとほぼ同時に、義父になる人は肺がんと診断された。
嫁さんは末っ子で、やもめ暮らしの親父さんと二人暮らしで、病気発覚以来
治療のことやら身の回りの面倒やらすべてやってたのもあって、俺が結婚の挨拶に行ったのは、
プロポーズから半年たってからだった。
手術して片肺を取ってしまった親父さんは、顔色は良くなってたけど、ちょっと苦しそうだった。
これから放射線治療をするという。数週間に渡る連日の治療で、副作用もあって結構大変らしい。
逐一嫁さんから聞いてわかってはいたものの、この状態の親父さんから
嫁さんをさらうようなことをして良いんだろうかと、なかなか結婚のことを切り出せずにいた。
食後に嫁さんが席をはずしたとき、親父さんが
「娘から聞いてるよ。結婚するんだろ?あいつはだらしないし頑固だけど、
家のことはきちっとやってくれるよ。親の俺が言うのもなんだが、思いやりもある。
俺がこんな状態なんで、今後の色々は悪いがもうちょっと待ってくれよな。
治療してもうちょっと元気になるから。あいつは苦労したから幸せにしてやってくれ。」と。
俺は、ただ「よろしくお願いします。早く元気になってください。」としか言えなかった。


500
2/5 2006/01/17(火) 14:26:08
結局、その後一ヶ月も経たずに肺がんが再発して、抗がん剤を使うことになった。
これも半年近くかかって少しずつ治療するとかで、終わるころには体力が落ちて
外出どころじゃないだろうと言って、親父さんの方から「親御さんに会わせて下さい。」と。
親父さんの体調のいい日を見計らって、両親の顔合わせをし、結婚式の日取りも決めた。
親父さんが出席しやすいよう、嫁さんの実家近くの式場も抑えた。親父さんが気に入ってたホテルだ。
そのころには、でっかい酸素ボンベがないと身動きできないほどになっていた。
いったんは持ち直したものの、親父さんの具合はどんどん悪くなった。
嫁さんは、親父さんが心配なのと24時間の看護生活と、結婚がいつになるかわからないのとで
どんどん精神的に不安定になり、更に嫁さんの兄弟がまったく協力しないどころか、
「父は結婚に反対だったのに、結婚話を勝手に進めたりして、父の世話はどうする。無責任だ。」と
彼女を責めたりして、彼女はどんどん痩せていった。
そんな彼女を、俺は抱きしめることしか出来なかった。
それと並行するように、親父さんの具合もじわじわと悪くなっていった。




5013/5 2006/01/17(火) 14:27:51
その頃、俺は先に婚姻届を出すことを考えはじめた。親父さんに万が一のことがあったとき、
籍さえ入っていれば、彼女のことを直接支えられると思ったから。
親父さんも快く了承してくれ、彼女以外は一切入れなかった自分の寝室に俺を呼んだ。
そこで、婚姻届の保証人の欄にサインをしてもくれた。そして、俺に
「申し訳ないが、一人では生活すら出来ない。日に日に弱って苦しくなっていく体で、
こいつ以外はもう、他の子供たちが来るのも気を使って疲れきってしまう。
悪いけど、もうしばらくこいつをそばに置かせてくれ。」と頭を下げた。
俺は「僕は彼女を支えることしか出来ません。彼女が親父さんのそばにいることで親父さんが
少しでも楽に過ごせるなら、別居でも僕はかまいません。仕事の関係でこちらの近くに住むのは
難しいですが、時間が許す限り、彼女に会いに来ます」と答えた。
親父さんは一言、「ありがとう」と言った。
次の日、婚姻届を出した。晴れて俺たちは夫婦になった。安物だけど、おそろいの指輪も買った。

その頃、親父さんと嫁さんは二人きりで花嫁姿で写真を撮った。親父さんが、
「さすがに結婚式には出られないだろうから、二人で写真を撮ろう。」と言ったらしい。
その直後、親父さんはほとんど寝たきりになった。呼吸が苦しくなる発作を何度も起こしながらも、
「限界まで自宅にいたい。」と言う親父さんの気持ちを、嫁さんは言われなくても理解していた。
とうとう親父さんが「限界だ。」と言い病院に入った。
危篤の知らせを受け、3時間かけて病院にたどり着いたときはもう・・・俺が病院についてしばらくして、
親父さんは息を引き取った。ほんの2週間の入院だった。

5024/5 2006/01/17(火) 14:28:39
葬式等終わった後、写真が出来上がった。親父さんは痩せた青白い顔で、でも微笑んでいた。
親父さんの遺品整理のとき、通帳にメモがあった。『○○(嫁の名前)の結婚祝いをここから』と。
嫁さんの仲良しの従姉から『おじちゃんが言ってたよ。』と、きいた言葉。
「○○ちゃんが結婚するのに、お姉さんのときのように笑って送り出したいのに、
この体じゃそれも出来ない。自分のために子供の幸せが犠牲になるようで
辛いが、余りに苦しくて将来を考えてやる余裕もない。情けない。」
「○○は良い旦那を見つけた。嫁の親を優先するなんて、なかなか出来ることじゃない。
○○のことはもう心配要らない。」

嫁と二人で号泣した。
俺は、最期まで親を看取った嫁を誇りに思うし、ますます大切に思うようになった。
親父さんがこんなに可愛がってた嫁を引き受けるのだから、親父さんのことも裏切れない。
こないだ、親父さんの喪が明けて、延期してた結婚式と披露宴をした。
嫁、ホントきれいだった。親戚も友人も事情を知ってるから、みんな泣いてた。
「両親に見てもらえなかったのは残念だったけど、こんなに沢山の人に祝ってもらえて私は幸せ者」と
嫁が言った。まだアマちゃんな俺だけど、頑張って嫁を幸せにする。

4までに収まった。失礼。長文すまなかった。




504素敵な旦那様 2006/01/17(火) 14:36:38
>>502 お幸せに!

509素敵な旦那様 2006/01/18(水) 00:01:55
>>502
お前も良くがんばって嫁さん、支えたな。
嫁さんや親父さんやお前の当時の気持ち、
考えてたら、泣けたわw

末永く幸せにな。親父さんも天国で見守っててくれてるぞ!


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