578名無しさん@おーぷん 20/06/25(木)01:36:28 ID:l3q
昔、家の前に大きい男の人が倒れてた事があった。
一人じゃどうにもできなかったから、母に言って病院に連れていってもらおうと思ったの。
でも意識が戻った大男は病院を嫌がった。
母は警察に通報すればいいだけなのに、何故だか大男を家の中に入れてしまった。
大男は大きい怪我をして倒れてたわけじゃなくて、今で言う行き倒れみたいな人だったみたい。


一年ぐらい家に居たと思う。半年経つ頃には私も大男が家に居るのが当たり前になってて、学校から帰ってきたらただいまーって言ってた。
大男は家のこと何でもやってくれた。掃除も洗濯してくれた。
でもある日ふっと大男は居なくなった。母は寂しそうだった。今思えば母はあの大男に恋をしてたんだろうな。
それから時が経って私が大男を忘れた頃。
私は大学生になってキャンパスライフを楽しんでた。入ったサークルで年上の彼氏が出来たり凄い楽しい日々だった。

だけど、彼氏はサークルの女王みたいな人と本当は付き合っていて、
田舎から出てきた芋女をからかう為に私と付き合っていたこと、私の性事情などをサークル仲間に吹聴していることが分かった。
あんまりだと彼氏に訴えたけど、逆に女王から彼氏を盗ろうとした股の緩い女だとレッテルを貼られてしまった。
それから辛かった。大学のどこにいても好奇の目で見られてる気がしたし、実際噂を聞いた男が一夜の遊びに強引に誘ってくることがあった。
いつも泣いていたし、ご飯が食べられないから痩せた。何も手につかなくなって単位を落とした。
いっそこんなに辛いなら死んでしまおうと思ったの。
最後に一目母の顔を見ようと思って、貯金全部下ろして電車で田舎に帰った。

途中で死ねそうなもの(ロープとか睡眠薬とか)を買っていった。
電車を降りて、母がパートをしているスーパーに行った。途中で擦れ違う幸せそうな人がうらめしかった。
レジ打ちとして働いてる母を見たら涙が出た。こんなにも頑張って働いて養ってくれた母を一人置いていくこと、私が自殺することで気に病むであろうこと全部が私の中でぐちゃぐちゃになり、その場から逃げ出すように走った。
自殺する場所は決めてた。小さい頃遊んだ裏山に、小さいお稲荷様の祠がある。そこの大きな木で首を吊ろうと考えてた。

けど馬鹿だったから、首を吊るためのロープは買ってもロープを括るための足場を用意してなかった。自殺は早速頓挫した。
それでも大学には戻りたくないし、母の顔は見れない気持ちだった。
裏山を降りて行く当ても無く歩いてたら、車が前を塞ぐように止まった。下りてきたのは大男だった。
私は殺されてもいいや、ぐらいの気持ちで大男の車に乗った。

579名無しさん@おーぷん 20/06/25(木)02:03:34 ID:l3q
大男は私を殺したりしなかった。それどころが昔みたいに掃除したり、一緒にご飯を作ったりした。
安心したのかな。私は子供みたいに泣いてしまった。大男は優しく背中を擦ってくれた。
私は大男に全部ぶちまけた。大学が辛いこと、本当はここに死ぬために来たこと。
大男は辛かったなとだけ言った。
朝起きたら大男はまた居なくなっていた。

待ってれば帰ってくるだろうと思っていたが3日経っても一週間経っても帰って来なかった。
私も大学に戻る気はなかったから、家主の居ない部屋を暫く間借りしていた。
1ヶ月かそこら経つ頃、大学に通うために借りていた部屋の大家さんから連絡があった。
私が家賃を滞納していたから。いい機会だし、部屋を引き払って大学を辞めようと思い、一度戻ることにした。

大家さんに迷惑かけて申し訳ないと謝罪し、その足で大学に行った。
あれだけ私を苦しめたサークルは無くなっていた。大して仲良くもなかった人たちから一斉に話しかけられた。その人たちの話を要約すると
・女王は借金してしまい、それが払えなくなり泡に沈んだ
・彼氏はホストのバイトを始めたが、女に飛ばれ借金。今は行方不明
・サークルの何人かは薬をやったらしく退学
とそれぞれ茨の道を進んだそうだ。
結局私はそのまま大学を辞めて田舎に戻った。
母になんて言おうか、と考えながら駅を下りたらそこに母がいた。おかえりとだけ言ってくれた。
それからは、こっちの職場で知り合った男性と結婚し、今は一人娘がいます。

去年母が亡くなり、遺品を整理したところ日記が出てきました。その日記には母が「私が死んだらこの人に日記を渡してほしい」と書いてあり、電話番号のメモが一緒にありました。
私は日記を渡すために連絡をすると、その人が線香をあげたいというので、家まで来てもらう事にしました。
日記を受けとりに来た人は、かつての大男でした。
年のせいか随分小さくなっていましたが、それでも顔は昔の面影がありました。
大男は線香をあげると、嗚咽をあげて泣いていました。

落ち着いたあと大男は私に、大男は私の父親であること、昔人を殺してしまったので母とは離婚した。しかし出所して一目私を見たかったので家まで来たが、そこで行き倒れてしまったこと。ずっと私のことを見守っていたことを話してくれました。
その上で大男は、身内に犯罪者がいると孫の将来が狭まるから、金輪際連絡を取るつもりは無い、お前も忘れなさい。と言い帰りました。
旦那には父親が人殺しである事は言いません。
多分私のせいでさらに罪を重ねた事も言いません。
大男の事は私と母が墓場に持っていく秘密です。
お目汚し、長文失礼しました。




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